ヴィンテージになる前に持っていた。── OLD STÜSSY

ヴィンテージになる前に持っていた。── OLD STÜSSY

大城崇聡(Collection Bank代表取締役)

  1. 今日の対象

「中学生のときから、ずっとSTÜSSYが好きだ。」

形は変わっても、好きが続いている。このシリーズで初めて出てくる目線です。

ポロチノは手放した。ポロシャツも手放した。ポロスポーツは手が届かなかった。でもSTÜSSYへの愛着だけは、中学生のときから今も続いています。

今回はOLD STÜSSY(オールドステューシー)と呼ばれる、ショーン・ステューシーがブランドに在籍していた時期のアイテムを中心に掘り下げます。

  1. 昔はどう見られていたか

1993〜94年頃、中学生だった自分は福岡のSTÜSSYで一枚のTシャツを買いました。カタカナで「ステューシー」と書かれた一枚。当時はただ格好いいと思って買った。それだけでした。

1980年代初頭、ショーン・ステューシーが南カリフォルニアでサーフボードへサインを書き始め、そのロゴをTシャツへ展開したことがSTÜSSYの始まりです。サーファー・スケーター・ヒップホップというサブカルチャーの文脈に広がっていき、90年代の日本では裏原宿カルチャーとも深く結びつき、街の中心にいた存在でした。

当時「普通に買えるストリートブランド」だったSTÜSSYが、今「オールドステューシー」として古着市場で全く別の評価を受けています。

ノスタルジー投資とは、自分の「好き」が、あとから文化的価値として再評価される現象です。

  1. なぜ価値が生まれたか

ショーン・ステューシー在籍期という「時代の区切り」

OLD STÜSSYとは、一般的にはショーン・ステューシーがブランドを離れた1996年前後までのアイテムを指すことが多い言葉です。ショーンが在籍していた時代の空気感、デザインの個性、素材の質感。それらが「当時物」として別の文脈で評価されるようになりました。

ブランド自体は今も続いています。でも「ショーンがいた時代のSTÜSSY」は、もう増えることはありません。現存するオリジナル個体は、着用や劣化によって少しずつ市場から姿を消していきます。

カタカナロゴという「日本の文脈」

カタカナで「ステューシー」と書かれたTシャツは、日本市場との深い関わりを象徴するアイテムとして知られています。英語圏のブランドが日本語のカタカナをロゴに使うという逆輸入的な発想は、当時の日本のストリートカルチャーとSTÜSSYの関係性を象徴しています。チャプター限定やジャパン限定のアイテムは流通量が極めて少なく、コレクターの間で特別な評価を受けています。

タグという「年代の手がかり」

OLD STÜSSYを語るうえでタグは重要な手がかりです。代表的なタグとして黒タグ・白タグ・紺タグなどがあります。ただしタグだけで年代を断定するのは危険で、例外も多いため、ボディやプリント仕様、縫製なども合わせて判断する必要があります。

黒タグは1980年代初期の創業当初から使われていた最も希少なタグ。黒地に白でロゴが刺繍されています。

白タグは1990年代前半に使用された白地に黒文字のタグ。ロゴが丸みを帯び、サイズと素材表記に赤文字が使われているのが特徴です。

紺タグは90年代のOLD STÜSSYとして古着市場で特に人気のタグ。紺地に白で刺繍され、サイズ表記が赤丸で囲まれたシンプルで洗練されたデザインです。

ショーンフォントという「創業者の刻印」

ショーン・ステューシー本人の手書きサインをもとにした「ショーンフォント」は、STÜSSYのアイデンティティの核心です。このショーンフォントが入ったアイテムは、創業者の在籍期間との関係から特別な文脈を持ちます。

総柄という「デザインの密度」

OLD STÜSSYの中でも総柄アイテムは、プリントの密度と視覚的インパクトから別格の評価を受けています。全面にデザインが施された一枚は、当時のストリートカルチャーの熱量をそのまま纏っています。

  1. 観察ポイント

OLD STÜSSYの評価を決める4つの軸です。

① タグで年代を読む 代表的なタグとして黒タグ・白タグ・紺タグなどがあります。ただしタグだけで年代を断定するのは危険で、ボディ・プリント仕様・縫製を合わせて年代を絞っていきます。ショーン在籍期(1996年前後まで)のものが「OLD STÜSSY」として評価されます。

② デザインの希少性を確認する カタカナロゴ、総柄、チャプター限定、地域もの(パリ・ハワイ等)、ショーンフォント、パロディデザインなど、通常ラインとは異なる文脈を持つアイテムは評価が高い傾向があります。

③ ボディの状態を観察する OLD STÜSSYはプリントの経年変化と生地のフェードが「雰囲気」として評価されます。均一な経年変化の方が評価が高く、部分的な劣化や汚れは評価を下げる傾向があります。

④ 流通量と希少性を確認する OLD STÜSSYはブランドの歴史が長く市場に多くの商品が流通しているため、入口として探しやすいジャンルです。ただし総柄・カタカナ・チャプター限定などの希少デザインは流通量が極めて少なく、見つけたときの判断力が問われます。

  1. 今の相場感

P2P市場や専門古着店の販売価格を参考にします。状態・タグ・デザインによって振れ幅が非常に大きいジャンルです。

黒タグ(80年代初期) 最も希少なタグで、状態の良いものは数万円以上の取引が見られます。デッドストックや特別なデザインはさらに上を狙えます。

白タグ・紺タグ(90年代前半〜中期) OLD STÜSSYの中で最も流通量が多い層。状態・デザイン次第で8,000〜30,000円前後が目安です。カタカナロゴや総柄、地域限定デザインはさらに評価が上がります。ごく一部の希少モデルでは数十万円以上で取引される例もあります。

総柄・カタカナロゴ・チャプター限定 流通量が極めて少なく、状態の良いものは専門店では数万円以上の取引が見られます。

一般的なOLD STÜSSYアイテム ブランドの歴史が長く市場に多くの商品が流通しているため、1万円以下から手に入れられるアイテムも少なくありません。入口として探しやすいジャンルです。

  1. コレクションとして持つ意味

高校生のとき、祖父からロレックスのオイスターパーペチュアルデイトをもらった。特別高価なものではなかったけれど、ずっと手放さなかった。売ろうと思ったことも、正直ある。でも手放せなかった。好きだったから。

1993〜94年頃、福岡のSTÜSSYでカタカナで「ステューシー」と書かれたTシャツを買った。中学生だった。格好いいと思って買った。そのTシャツは今、手元にありません。いつの間にか手放してしまった。でも、今このタイミングでオールドとして買い直した。

他にも、STÜSSYは持っています。パリ、ワイキキといった地域ものを集めています。中学生のときカタカナTシャツを買った記憶が、形を変えながら今も続いています。

そして最近、総柄やオールドのアイテムが欲しくなっています。好きが深まるほど、見える景色が変わっていく。入口はカタカナTシャツだった。今は総柄やオールドの個体が気になっている。STÜSSYへの愛着は手放さなかった。形を変えながら、深くなっていく。

ノスタルジー投資とは、自分の「好き」が、あとから文化的価値として再評価される現象です。そして好きが続くほど、見え方も深まっていく。

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